不動産投資は資産形成に有効な手段として、投資家から注目されている投資方法のひとつです。
不動産を所有するだけで毎月安定した家賃収入が得られるため、サラリーマンが本業のかたわら取り組んでいるケースも多いです。しかし、投資初心者にとっては、興味はあってもなかなか手を出せないものでもあります。
そこで、資産形成のための不動産投資を活用することの重要性やおすすめな理由、注意点や成功させるためのコツなどを中心に解説していきます。
不動産投資についての正しい知識を得ることで、より効率的に資産形成できるようぜひ参考にしてください。
Contents
不動産投資で資産形成することの必要性
まずは、不動産投資で資産形成することの必要性について考えてみましょう。
不動産投資をする方によって理由はさまざまありますが、なかでもどのような理由で活用されているのか、またどのような収益を上げることができるのか解説していきます。
老後資金確保のための有効手段
不動産投資で資金形成する必要性のひとつに、老後資金確保のためということがあります。
近年の少子高齢化により、今後も年金受給開始年齢の引き上げや受給額の減少といったことが考えられることから、ご自身で備えておく必要があります。
「年金はどのくらいもらえるの?」と疑問に思う方もいると思いますので、参考までに受給額をご紹介します。厚生労働省「令和元年度 厚生年金保険 国民年金事業の概況」による年金額は以下の通りです。
(1)参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000706195
資金確保手段には、貯蓄や生命保険の活用といった方法もありますが、昨今の低金利時代において効率的に資産形成をするのは難しいです。そこで注目されるのが、不動産投資なのです。
不動産投資で得られる利益
不動産投資で得られる利益には主に次のふたつがあります。ではそれぞれの利益について確認していきましょう。
- 運用益(インカムゲイン)
- 物件売却益(キャピタルゲイン)
運用益(インカムゲイン)
運用益は、毎月の家賃収入による利益のことです。
たとえば、8室あるアパートを購入し1部屋5万円で貸し出す場合。満室であれば毎月40万円、1年で480万円の家賃収入が得られることになります。
物件売却益(キャピタルゲイン)
物件売却益は、不動産の価値が上がったタイミングで売却して得られる利益です。
6,000万円で購入したアパート1棟を7,000万円で売却した場合。単純計算で1,000万円の売却益が出る計算になります(実際には減価償却費などを差し引きます)。
不動産投資が資産形成におすすめな5つの理由
不動産投資が資産形成におすすめな主な理由は次の5つです。
- 時間と手間がかからないので本業と両立できる
- 元手資金が少なくても始められる
- 生命保険の代わりに利用できる
- 老後資金を確保できる
- 相続税対策に有効
不動産投資を有効活用するために、それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
1時間と手間がかからないので本業と両立できる
不動産投資は、時間と手間がかからないため本業と両立させていくことができます。
通常、「投資で儲けること」を考えると相場の値動きを常時監視しなくてはなりませんが、不動産投資は画面に張り付いている必要がないのです。
サラリーマンを本業としながらも、副業として労働しなくても収入を得られる投資方法です。
2元手資金が少なくても始められる
不動産投資と聞くと「まとまった資金が必要なのでは?」というイメージがありますが、実は元手資金が少なくても始めることができます。
ここでひとつ疑問なのが「サラリーマンは高額な融資を受けられるのか?」ということですが、「サラリーマンだからこそ受けられる」ということもできるのです。
そのため、仮に貯蓄が十分にない方でも、金融機関から「返済能力がある」と判断してもらえれば融資可能なのです。
3生命保険の代わりに利用できる
不動産投資を生命保険のように利用することもできます。生命保険に加入する目的のひとつに、ご自身に万が一のことがあった場合の遺族の生活費を保障することがあります。
投資物件は依然として存在しているので、空き室にならない限り家賃収入を得ることができ、遺族の生活費として利用できます。
このように、存命中は資産形成のために利用しながら、生命保険としての役割を持たせることもできるのです。
4老後資金を確保できる
「老後資金確保のための有効手段」のところでもご説明しましたが、老後資金を確保するためにも役立てることができます。
公的年金だけでは不足する金額を不動産投資による利益で補充することで、より高額な老後資金を得られます。高齢になるにつれ体力の衰えもあることから、不労収入が得られる不動産投資を選ぶこともひとつの方法です。
5相続税対策に有効
不動産投資は相続税対策に利用されることもあります。たとえば、8,000万円の現金を相続した場合、相続税評価額は8,000万円そのままなので、8,000万円に対する相続税がかかります。
固定資産税評価額は、相続税評価額の約50~60%になるため相続税評価額は4,000万~4,800万円になります。
さらに、借家権割合(※2)を差し引いたり小規模宅地の特例(※3)を受けたりすると、より相続税評価額を小さくすることができます。このように、支払う相続税を少なくするためにも活用されています。
※1借家権割合:建物の価値に占める借家権の割合で、全国一律30%。
※2小規模宅地の特例:小規模宅地において、所定の要件を満たした場合評価額を最大80%減額できる制度
不動産投資で資産形成するのは副業になるの?
不動産投資で資産形成を検討している方の中には、「不動産投資は副業にあたるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。本業の会社にバレてしまったら、何らかの罰則を受けることになるのか気になるところですね。
近年、政府による「働き方改革」の推進もあり、サラリーマンに対する副業の規制が緩和してきておりコツコツと稼いでいる方もいます。
しかし、不動産投資は大きな金額が動くものなので、一体どのように取り扱われるのか確認していきましょう
一般的に不動産投資は副業にはならない
結論から言うと、一般的に不動産投資による資産形成は、副業にはあたらないとされています。
就業規則に「副業を禁止する」ことが明記されている会社が多いですが、それは主に次のふたつのことを懸念してのことです。
- 会社の情報が漏洩する
- 本業がおろそかになり業務に支障をきたす
不動産投資で資産形成することは、会社の情報を漏らすことにはなりませんし、先にもご紹介したように日常的な管理は不動産管理会社に任せられるため本業がおろそかになる心配もありません。
そう考えると、会社が禁止している副業には該当しないため、即罰則を適用するというような措置を取られる心配はないといえます。
副業とみなされるケース
ただし、以下のようなケースでは副業とみなされる場合がありますので注意が必要です。
- 「5棟10室」以上の「事業的規模」の不動産投資をしているケース
- 公務員が不動産投資をするケース
不動産投資が副業になるかならないかの基準のひとつに、「事業的規模な不動産投資をしているか」という点があり、具体的には「5棟10室」以上の物件に投資していると、副業とみなされる可能性があります。
不動産投資で資産形成をする際の注意点
不動産投資で上手に資産形成をしていくうえで、次の3つの点に注意してください。
- 不動産には「維持費」がかかる
- 「空き室リスク」への対策
- 「不動産所得」は確定申告をする必要がある
ではそれぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
不動産には「維持費」がかかる
不動産投資のために物件を購入した後も、さまざまな維持費がかかることを忘れてはなりません。維持費には主に以下のようなものがあります。
維持費の種類 | 内容 |
管理費 | 清掃代金や不動産管理会社に支払う委託金など。家賃収入の5%程度。 |
修繕費 | 物件の修繕やメンテナンス費用の準備金。家賃収入の5%程度。 |
固定資産税 | 不動産を保有している人に課され、都市部では都市計画税もかかることがある。家賃収入の5%~10%程度。 |
なお、「管理費」にある不動産管理会社へ支払う委託金は、自分で管理する場合は支出する必要はありません。しかし、家賃の集金管理や入居者の募集など時間や手間のかかる作業になるため、副業として行うには現実的に難しいです。
専業で行う分にはご自身でもできますが、トラブルやクレーム対応など専門的な対応を求められるケースもあるため、不動産管理会社に委託する方が良いかもしれません。
「空き室リスク」への対策
近くに同じような物件があると競合することになり、ご自身の所有する物件を優位に立たせるためには「ウリ」になる強みを付けなければなりません。
ほかにも、近隣にあった大学や病院が移転するに伴い、入居者が減ることもありますし、少子高齢化が入居率に影響する可能性もあります。「常に満室」の状態で運用益を考えていると、空き室が増えたときのダメージが大きくなります。
「不動産所得」は確定申告をする必要がある
不動産投資で得た不動産所得については確定申告をすることになります。不動産所得が20万円超の場合は確定申告が義務付けられています。
不動産所得 | 確定申告 |
20万円超え | 必要 |
20万円以下 | 不要 |
20万円以下の場合は義務付けられてはいません。しかし、確定申告をしたほうがメリットがあります。ちなみに、不動産所得は以下の式で計算します。家賃収入から必要経費を差し引いた金額が不動産所得になります。
不動産所得=総家賃収入-必要経費
確定申告した方が良い理由
では、なぜ20万円以下の場合も確定申告をしたほうがいいのでしょうか。結論から述べると、給与所得の課税所得を減らすことができるからです。
不動産所得が赤字になった場合、本業であるサラリーマンとしての給与所得と「損益通算」をすることで課税所得を減らせます。
こういった利用方法もあるため、たとえ不動産所得が20万円以下でも確定申告をすることをおすすめします。
不動産投資で資産形成を成功させるための3つのコツ
不動産投資で資産形成を成功させるためには、押さえておきたいコツが3つあります。
- 本業をおろそかにせず安定収入を得るようにする
- 信頼できる不動産管理会社を探す
- 正しい知識を身に着ける
ではそれぞれのコツについて詳しく確認していきましょう。
1本業をおろそかにせず安定収入を得るようにする
不動産投資で資産形成をすることに夢中になり、本業をおろそかにしないように気を付けましょう。
また、金融機関から不動産購入資金の融資が受けられるのは、サラリーマンとして安定した収入があるからともいえます。
それを覆してしまうと今後の融資にも影響が出ますので、本業をしっかり行うことが大切です。
2信頼できる不動産管理会社を探す
不動産管理会社は、不動産投資をスムーズかつ効率的に行っていくうえで大切なパートナーとなります。そのため、信頼して任せられる不動産管理会社をいかにして見つけるかが、不動産投資を成功させるカギともいえます。
入居率を上げるには「不動産管理会社の対応にかかっている」といっても過言ではありません。信頼できるかどうか慎重に見極めましょう。
3正しい知識を身に着ける
不動産管理会社にすべてを任せる場合でも、不動産投資について正しい知識を身につけるために勉強を怠らないようにしましょう。
しかし「何から手をつけて良いか分からない…」といった悩みを持つ方もいるでしょう。そんな方は、まず不動産投資セミナーに参加することから始めるのがおすすめです。
不動産投資セミナーは不動産会社が無料で開催しています。正しい知識を獲得できるのはもちろん、疑問点・不安点を質問できる絶好の機会です。お金はかかりませんので、一度気軽に参加してましょう。
まとめ
不動産投資で資産形成をすることは、老後資金を準備することのほかにも、生命保険代わりに利用したり相続税対策に利用したりと、さまざまな場面で効果的です。
手間や時間もかからないため、サラリーマンを本業としながらも毎月安定した家賃収入を得ることができます。
しかし、不動産投資をする際には注意点もありますので、後にトラブルに発展しないためにも、始める前にしっかりと確認しておくことが大切です。
そして、不動産投資を安心して進めていくためには、信頼できる不動産管理会社をパートナーにすることが欠かせません。納得のいく相手を選ぶようにしましょう。